古川ひろのりの女性活躍推進~女性が知らない「女性の強み」その3~

見た目の美しさの追求だけでなく精神面、教養面の豊かさを求めて、女性は自分への投資を惜しまない傾向が強い。

素直に学ぶ姿勢も、若い頃は特に有意な性差と言えるのではないだろうか。

『女性が職場で損する理由~賢くふるまう技術~』
(古川裕倫著 扶桑社新書)より
◆自分のお金でセミナーに行く向上心◆

ポケットマネーで講演に行く女性は偉い!

以前、ある出版社が主催する坂東眞理子先生の講演会に行った。200名ぐらいの女性参加者で満員。男性は私を入れて2名だけ。
会費は3000円で、ほとんどの参加者はOL風だった。

坂東先生は『女性の品格』や『親の品格』を書かれているが、当日は「働く女性の品格」というテーマの講演だった。
女性が今よりもっと輝いて生きるためにという観点から、さわやかな笑顔の中にも説得力のある素晴らしい講演を聞かせていただいた。

講演後、会場から出てくる女性たちの目はグンと輝いていた。講演でたっぷりと元気とやる気をいただいたという感じだ。
会場の建物を出た辺りで自分の前を歩いている女性2人組から「あなたは聞き上手だからね!」という会話が聞こえてきた。

講演後、質疑応答の時間があり、「どうすれば目上の男性へのスマートな付き合い方ができるか」
との質問があった。「尊敬の念を持って接すること。手柄話を聞いてあげると喜ばれます」
と坂東先生が答えられたのだが、その部分の延長線上の会話かもしれない。
そのときの私自身は、恥ずかしながら、手柄話を有頂天でしている自分の姿を想像して一人苦笑していた。

男性は、会社や上司に言われるとしぶしぶ講演会に行くだろうが、そもそも講演などに行きたがらない。
会社の研修にしても同じ傾向がある。

男性は、会社の金でしか講演会に行かないが、女性は自分でお金を出してでも行く。
自分への投資という大事なことをわかっているのだ。

男性は、酒代やタクシー代は毎晩のように払っても(私の問題そのもの、笑)、講演会に払う数千円を自分に投資しないのだ。

教えられるという授業スタイルを嫌いな男性が多いことも一つの理由かもしれない。
本を読めばそれでわかるという人もいるだろう。本は読みたいときに読めるし、講演会に行ったら途中退場も気が引けるということがあるかもしれない。
でも、これは女性にとっても同じことだ。

男性も、女性を見習って学ぶということをもっと素直に謙虚にできるようになればいいのにと思う。
すべての男性がそうだとは言わないが、素直に学ぶということができるのは少し年をとってからだろう。
自分がモノを知らないということを自覚して、講演に行くことを恥ずかしいと思わなくなれば、学ぶ姿勢が出てくる。
若い男性の場合、仕事を自分がやっているんだという“いきがり”みたいなものがあるのかも知れない。

私は自分も講師として話をするが、他の方の講演もしょっちゅう聞きに行く。
著者が自分の思いを自分の声で語るのと、本に書くのとでは、違う。ただし、正直に申し上げるが、若い頃はほとんど行っていない。

講演会は、臨場感があるし、同じときに同じ空間で語り手と聞き手が一緒にいるということがいいのだ。
レコードを聞くこととコンサートに行くことの違いかと思う。

目の前の仕事をこなすことや、せいぜい本を読むことが勉強だと思い込みやすい男性と、
カルチャー教室に若い頃から参加する女性の違いだ。
女性は若いうちから自分のお金で学びを素直に受け入れる能力が高いと思う。

(次回に続く)