「古川ひろのりの軍曹つれづれ草「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」

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   ■□ 「古川ひろのりの軍曹つれづれ草」

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   ■■◆ FROM : 一般社団法人彩志義塾代表理事 古川裕倫
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【今日のコラム】

今日は、女性活躍推進の話題ではありません。
しかし、経営者にも新入社員にも、
男性にも女性にも知っていてほしい話です。

お医者さんが必ずしも経営上手でないのは、
「お金儲け」に対するイメージの悪さというのがあるかも知れないと
あるドクターから先日聞きました。
たしかに、お金儲けありきのお医者さんであれば、尊敬もされませんね。
しかし、経営する以上は顧客サービスという観点からも
ちゃんとしてもらわないといけないのです。

現代風にいうと、営利団体はもちろん非営利団体であっても
サステイナビリティ(健全な持続性)がないといけません。
例えば、ある地域のお医者さんが食べていけなければ、
その地域の医療サービスを継続して提供できません。
ですから、経営が下手なのは患者側にとっても困るのです。

昔の話をしますと、
このサステイナビリティを考えていた偉人がたくさんいるのです。
江戸時代初期に近江聖人と呼ばれた中江藤樹は、
道徳を教えながら、金貸しをしたり、酒を売って生計を立てていたのです。

江戸後期に、諸藩から来て欲しいと乞われた
農村改革の二宮尊徳も
「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」
との言葉を残しています。

また、明治の日本を代表する経営者渋沢栄一は
「論語と算盤(そろばん)」といって
「孔子の心を持って、ビジネスをしなさい」
と教えてくれています。

つまり、お医者さんで言えば、
尊敬され、経営もできる人が必要です。

今日のメルマガでは、偉人の中でも、
中江藤樹(なかえとうじゅ)をご紹介します。

江戸初期、岡山に熊沢蕃山(くまざわばんざん)という偉い人がおりました。
独学で儒学(中国の孔子・孟子などの学問)を学んでいましたが、
もっと学びを深めようと、自分の先生を探していました。

師を求めて旅をしていた熊沢蕃山が、
たまたま泊まった京都のある宿でこんな話を聞きました。

つい5日前にある飛躍が夕刻その宿屋に客としてやってきました。
飛脚は自分が走るだけではなく、
大きな荷物の場合は、馬を雇って目的地に運送するのです。

その飛脚が宿に上がって、お茶をすすっていた時。

「あれっ、カ、カ、カ、カネを忘れた。
鞍の内側にくくりつけたまま忘れてしもた」

と、とんでもない大声を出して、宿の外に飛び出していきました。
が、馬もそれを連れた馬子の姿もそこにはありません。

宿の番頭が、飛脚に聞きました。

「さっき返した馬にお忘れですか」
「うーーん、殿からお預かりした200両が。。。」

と声にならない答えで、肩を落としてうなだれるだけでした。

「ばかだった。仕事に集中していなかった」

飛脚は、キョロキョロと馬上から薬屋を探していた
自分を悔やみました。重病の母のために、
この旅で薬も買っていきたいと思っていたからです。

しばらく悔やんでいた飛脚でしたが、
「もうカネは返ってこない。死んでお詫びをするだけだ」
と覚悟を決めました。

その当時は、治安が悪く、
追いはぎや雲助といわれる輩がたくさん出没しており、
お金が帰ってくることなど考えられないことでした。

ところが、1時間ほどして先ほどの馬子が馬をひいて
宿へひょっこり戻ってきたのです。
馬子に気づいた飛脚は、腰を抜かすほど驚き、
自分の目を疑いました。
確かにあの馬子だ。
継ぎ当てだらけの膝までしかない着物を着ている。

馬子は飛躍の顔を見るや、さっとお金を差し出しました。

「これ、お忘れものでしょう。中身を吟味してください。」

200両を確認した飛脚が顔を上げると、

「では、わたしはこれで失礼します」

と馬子は帰ろうとするではありませんか。

「チョッ、チョッと待って。
チョッとだけ待ってくれ、待ってください。
お礼をさせてください。
殿にこの話をしたら必ずお礼はしたのかと言われるに違いない。
この20両を受け取ってくれませんか」

飛脚が言うと、馬子はきっぱりと言いました。

「いいえ、そんなものは受け取れません」

「そんなこと言わずに。。。あなたは私の命の恩人です。
では10両だけ受け取ってください」

「いいえ、いただけません。人様のものは人様のものです」

「なぜ受け取ってくれないのですか」

「いただけません。当たり前のことをしただけです。
いくら貧しくても人様のものをいただくわけにはいきません。
そんなことをしたら村の先生に叱られます。
先生から、いつも心が汚れぬようにしなさいと言われています」

馬子の澄んだ目は近江の方の空を見ていました。

「一生懸命働いたら、先生はお酒を2合でも3合でも売ってくれますが、
真面目に働かないと、今日は酒を売らないと叱るんです。
ちゃんとしたことなら、
先生は私なんかにお金も貸してくれるんです。
馬を買うときもお金を貸してくれました」

「先生は、人様に頼らずに自分で生きて行ける
立派な人になりなさい、といつもおっしゃるのです。
先生は、こんな仕事をしている私を
一人前の人間として認めてくれるんです。
馬子も立派な仕事だ。お客様に喜んでもらって、
馬も自分の子どものように愛してやれと、
こんな私に、優しく丁寧におっしゃるのです」

「先生には、いろんな殿様からお金がいっぱいもらえる
仕官の誘いがたくさん来ているようなのですが、
先生はここがいいと言って、村を離れようとしないのです」

飛脚がどうしてもというので、結局馬子は5文だけ受け取り、
頭を下げて丁寧にお礼を言って帰りました。
宿まで忘れ物を届けるために引き返したことで、
ワラジがすり減った分だけいただくということになったのです。

宿の亭主からその話を聞いた旅の途中の熊沢蕃山が、
馬子の言う先生が中江藤樹だと知るや、
その足で京から近江に駆けつけて弟子入りをお願いしたのでした。

現代流に言うと、
熊沢蕃山が一生敬うメンターを見つけた瞬間です。

ちなみに、岡山に閑谷(しずたに)学校という
江戸時代からの学校が日本特別史跡として保存されています。
江戸の初めに岡山藩主であった池田光政が建てた
庶民のための学問所です。
そこには、熊沢蕃山や中江藤樹の資料がたくさん陳列してあり、
ゆっくりと見ることができます。
広くて静かで、歴史の匂いが身を包んでくれ、
心が温かくなります。
小生のお勧めの歴史探訪の場所の一つです。

つい、力が入って書いてしまって、長くなってしまいました。
もし、よいという声があれば、
またの機会に続きを説明させてください。

実は、もっといい話があるんです。

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一般社団法人彩志義塾(さいしぎじゅく)代表理事
「世田谷ビジネス塾」塾長 古川裕倫(ふるかわひろのり)

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