古川裕倫の「いろどり徒然草」11月号

~女性活躍推進法ってご存知ですか?来春までの宿題とは?~

こんにちは。一般社団法人彩志義塾の古川裕倫です。
いつもコラムを読んでいただき、ありがとうございます。

前々回「独立自尊」は、部下育成、子育て、女性活躍推進のどれにも
通じると申し上げたところ、多くのポジティブな反応をいただきました。

前回は、「立志塾とはなにか」との質問をいただき、
「一流ロールモデルから学ぶ長期・戦略的なキャリア形成に
必要な要素をぎゅっと凝縮した少人数制オープンセミナー」とお答えし、
その内容の一部も併せてご紹介しました。

今回は、女性活躍推進以外のことを書くつもりでしたが、
急ぎお知らせすることがあり、また女性活躍関連となります。

【今日のコラムー女性活躍推進法成立—】
女性活躍推進法が成立しました(2015年8月28日)。
既にご承知とは思いますが、要点をお知らせします。

〈要旨〉
301人以上の企業に、①女性活躍の目標設定と行動計画の
策定、②役所への届け出、③自社ホームページへの公表が義務
づけられた。期限は、2016年4月1日まで。 従業員数が
301人以上の会社は日本に15,000社あるといわれている。

〈やるべきこと〉
1、自社女性の活躍状況の把握・課題分析
2、行動計画の策定・届け出(提出先:都道府県労働局雇用均等室)
3、情報公表(自社ホームページへ)

具体的には、次の状況把握と課題分析が必要。
1、女性採用比率
2、勤続年数の男女格差
3、労働時間の状況
4、女性管理職比率

更に、
優良企業は、厚生労働省大臣の認定を受けることができる
(認定マークはこれから決定されるが、HP・商品・名刺などに付けられる)

300人以下の会社は、努力義務のみ。助成金制度あり。
(以上は厚生労働省HPなどの情報の要約)

結果、次のようなことが考えられる(古川の個人的見解)

(1)(罰則がないので)真剣に取り組まない会社はまだまだあるだろうが、
15,000社もの会社が都道府県労働局に女性活躍推進の計画を
届け出るとなると、それなりのインパクトがあるだろう。

特に、来年の締切(4月1日)直前は、かなりの混乱と話題性の
高まりが予想される。

(2)これまで女性活躍推進に取り組んできた会社、特に大手企業に
とっては、今回の規定は特段驚くことでもない。
ただ、社内目標があっても社外公表は控えていた会社もあるので、
(社内目標をそのまま出しづらいだろうから)社内で再議論される
ことになり、結構なことだと思う。

(3)企業ごとの女性活躍推進の状況が「見える化」されるので、
企業外から評価を受けるようになるだろう。顧客にとって企業の
一つのイメージとして見え、就活生にとっても従業員を大切に
する会社かどうかの視点となる可能性がある。

(4)これまで手を付けてこなかった会社が女性活躍推進を始める
ことによって、女性労働力の逼迫に拍車がかかる可能性がある。
少子高齢化は、確実に生産人口減少をもたらしており、これまで
通り男性労働者が十分あるという状態は長くは続かない。

(5)これまでの問題は、上場企業を含む多くのトップが「総論賛成、
各論風まかせ」であったことかと思う。日経新聞ピンク色の「W」が
連日載っているのに、「我こそは」と名乗り出る企業が少ない。

人事部に「女性活躍推進室」を作り、女性課長を据え、女性社員
啓蒙の研修などするが、だいたいそのあたりでストップしてしまって、
「男性中間管理職」を含めて全社的な変革とはなっていない。
つまり、表面的にはやってはいるが、根本的改革とはなっていない
会社も少なくない。

バラク・オバマとヒラリー・クリントンが前回大統領選を戦ったときに、
「ガラスの天井があった(女性に対する壁)」とクリントンは言ったが、
「日本企業においては女性の上に男性の岩盤層がある」と多くの
外国人が指摘している。そろそろ、本当のダイバーシティが、
真面目に検討・実行される時となるのではないだろうか。

(6)最後に、女性活躍法案を更に浸透させるために、一つ提言をしたい。
4月1日までに提出すべき行動計画を少なくとも上場会社は取締役会で
決議してほしい。取締役の見解にも濃淡があり、女性活躍を支持している
取締役もいれば、まったく興味のない取締役もいる。先に述べた
「総論賛成、各論風まかせ」の取締役である。

「風まかせ」とは、「いつかはそうなるだろう」「自分が積極的にしなくても、
だれかがやるだろう」という意味。取締役会決議をしておけば、人事担当も
女性活躍推進が断然やりやすくなる。すなわち、採用、研修などの育成、
評価などの人事重要項目の方針が会社として正式に決定されているから
である。他方、会社方針決定がない場で、人事部長が自らの采配でできる
ことなど知れている。

【お知らせ】

1、人事部のポータルサイト「日本の人事部」に掲載しているとおり、
  12月9日(水)15:00から「4月1日施行女性活躍推進法の概要と
  今後の企業対策を考える」の無料セミナーを行います。どのような
  女性活躍の計画とするか、参考になる他社事例など多様なソリュー
  ションが学べます(ご参加は、経営者・幹部や人事部の方に限ります)。

2、立志塾第5期生(2015年4月から10月まで)の募集を開始しました。
  早割(20%オフ)の締切は、2016年1月15日です。
  https://saishi.or.jp/risshijuku.html

3、熱燗の美味しい季節となりました。
 「友遠方より来たるまた楽しからずや」「なみなみとつがせておくれ」。
  神田でお待ちしております。

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