朝の5分を使って「ホワイトカラーエグゼンプション」について考える Part1

Q1.ホワイトカラー・エグゼンプションとは?

ある一定の要件を満たすホワイトカラーに対して、労働に関する法的規制を緩和・免除する制度のこと(エグゼンプション=「免除」)。
労働時間や賃金、休息等についての規制を免除することで、企業による時間管理の枠を外し、労働者の裁量性を高めること目的とする。
そのため、支給される賃金額は労働時間以外の要素(例えば職務内容等)をもとに決められることが多い。対象者は、労働時間と成果が比例しにくいとされる職種、例えば、管理職や専門職(研究職や開発職、デザイナー、士業等)が一般的である。

Q2.ホワイトカラー・エグゼンプションと裁量労働制の違いは?

ホワイトカラ―・エグゼンプションは、実際の労働時間の長さに関わらず、「労働の成果に対する対価」として賃金を支払うことを原則とする。一方、裁量労働制は、実際の労働時間の長さに関わらず、「ある一定の労働時間(みなし労働時間)に対する対価」として賃金を支払うことを原則とする。そのため、ホワイトカラ―・エグゼンプションでは「深夜労働や休日労働に対する割増賃金」の支払い義務がないのに対し、裁量労働制には「深夜労働や休日労働に対する割増賃金」の支払い義務が発生する。
従来の労働時間に関する枠組みと比較すると、いずれも企業の労働時間の管理義務は軽減される仕組みとなっているが、ホワイトカラ―・エグゼンプションの方がより明確に、労働時間と評価の関係を切り離した制度と言える。
ただし、ホワイトカラー・エグゼンプションは、従業員を際限なく働かせることを是とする制度ではではない。企業は従業員の健康に配慮する義務があることを忘れてはならない。

Q3. ホワイトカラー・エグゼンプションを導入している国はどこ?

イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、等。

① アメリカ
◇労働に関する法律:公正労働基準法(FLSA)等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は1週40時間まで。週40時間を超える場合は、通常賃金の1.5倍の割増賃金を支払わなければいけない。
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを何故導入するのか?:時間の枠組みを超えた、より裁量性の高い職務遂行を支援するため
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:管理職や運営職(広報、人事、法務、コンピュータネットワーク等)、専門職(法学・医学・グラフィックアート、システム開発・テスト等)、外勤営業職、等
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:最低賃金及び割増賃金の支払い義務がなくなる

② ドイツ
◇労働に関する法律:労働時間法、等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は原則1日8時間まで。1日8時間を超える場合、ある一定期間における1日の平均労働時間が8時間以内となるよう調整しなくてはならない。時間外労働に対する割増賃金の支払い義務はなし。なお、小売業の営業時間については、月曜日~土曜日は6時~20時までに制限され、日曜日は駅のキオスク等を除き営業禁止となっている。
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:管理的職員(採用・解雇等の人事権限を有する者等)等。※全労働者の2%(約40万人)にとどまる。
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:1日8時間を超える労働が可能になる

③ フランス
◇労働に関する法律:労働法典、等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は、原則週35時間。
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:畜産、林業、海洋漁業、商船等の従事者、国、地方公共団体、行政機関の公務儒自社、商業代理人、経営幹部職員等
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:労働法典上の労働時間規制(労働時間、休息、休日等の諸規定)の適用を受けない。ただし、年次有給休暇は適用される。

④ イギリス
◇労働に関する法律:労働時間規則、等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は、原則週48時間以内。
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:軍隊、警察、幹部管理職、家族労働者、家事使用人、宗教従事者等
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:労働時間規則の法定労働時間、休息、休日、休憩及び深夜労働の既定の適用を受けない。ただし、年次休暇の規定は適用される。

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