朝の5分を使って「ホワイトカラーエグゼンプション」について考える Part2

Q1.日本におけるホワイトカラーエグゼンプションに関する変遷とは?

 ホワイトカラ―エグゼンプションは、90年代半ば頃より注目を集め始めた。戦後、ホワイトカラーの労働者が倍増したことが理由である。もともと日本の労働法は、ブルーカラ―の労働者を主眼に制定されたものだった。そのため、近年の労働現場の実情にはそぐわない部分が多々ある。そこで、ホワイトカラ―エグゼンプションに関して経団連を中心に具体的な提案書をまとめたり、第一次安倍政権で注目を浴びりした時期もあったが、批判が多く上がり実現には未だいたっていない。
 批判が上がる理由は、過労死を増やすブラック企業が増えるという懸念があるためである。日本は現在、労働時間は原則1日8時間、週40時間である。それを超える場合は割増料金を支払わなければ、働かせることはできない。しかしホワイトカラーエグゼンプションでは、労働時間に関係なく賃金を決定する。労働時間は労働者本人が決め、その中での成果を基準に評価する。つまり、残業代0円になる。
 海外事例の場合、ホワイトカラー・エグゼンプションに付随する条件は厳密に定められている。労働者の権利を侵害しないよう、取り決めも整備されている。
 また、年収ダウン、有給休暇の未消化、過労死者数の増加、労働時間の延長によって少子化に拍車がかかるなど、社会問題悪化を懸念する声もある。

Q2. 勤務間インターバル制度とは?

 時間外労働などを含む1日の最終的な勤務終了時から翌日の始業時までに、一定時間のインターバルを保障する制度のこと。従業員の休息時間を確保し、恒常的な長時間勤務や不規則な勤務体系の改善を目的とする。働く時間の自由度を担保する一方、不当な仕事量や高すぎる目標設定による過労死が懸念される「ホワイトカラ―・エグゼンプション」と同時に、労働者の心身の健康を保持する施策として、近年注目を集めている。EUでは1993年に法制化されており、24時間につき最低連続11時間の休息が義務づけられている。例えば、勤務終了時刻が23時だった場合、始業時刻に関わらず、翌日の出社時刻は10時となる。

https://jinjibu.jp/keyword/detl/519/
(参考:日本の人事部)

※日本経済新聞/イー・ウーマン社長 佐々木かをり氏
 これからの経済成長を考えるには、生産性向上の議論が欠かせない。経済を活性化させることは働く人の頭数を増やすことと必ずしもイコールではない。嫌々仕事をしても成果はでない。私は一人ひとりがハッピーに働ければ、生産性は上がると考えている。日本全体で2%成長するのはなかなか難しいが、1人の生産を2%上げることはできるのではないか。
 そのためには多様な働き方を広げることが重要だ。具体的には労働時価と賃金の切り離しが欠かせない。時間ではなく成果に賃金を払う「脱時間給」制度(ホワイトカラ―・エグゼンプション)の議論では、ごく限られた高収入の人だけが対象になっているが、もっと裾野を広げるべきだ。
 例えば年収300万~400万円で、子育て中に時間短縮勤務を余儀なくされている人にもニーズはあると思う。給料は100%もらい、自宅で働く時間をつくればいい。今は自宅や海外にいてもできる仕事はたくさんある。出社することが働くことではない。もちろん工場の生産現場など労働時間と賃金が比例しなくてはいけない職種もたくさんある。重要なのはそうした働き方を希望する人に選択肢を作ることだ。労働時間の上限規制や、一定の休息時間を確保する「インターバル制度」などの安全策も並行して議論していく必要がある。
 安倍晋三首相が女性活躍を推し進めてきたことは評価している。女性活躍推進法ができたし、経済界が動き出した。今まで男性だけが向こうにいた「鍵のかかった扉」が開き、女性の取締役や監査役も増えた。
 ただ多様性は女性に限った話ではない。年齢や学歴など様々な観点の多様性が社会や組織には大切だ。今は女性向けに育児支援など様々な制度があるが、男性は出世できなくなるからその道を歩かない。
 それでも男性も介護などに直面する世の中になってきた。どんな働き方をしても管理職を目指す道に戻れるようにする必要がある。そろそろ女性のために「2本目の道」を作るのはやめよう。すべてを束ねた道を国が作っていってほしい。

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