古川裕倫の「いろどり徒然草」8月号

脱却できるか「長時間労働」という働き方から
~トップの経営決断が必要~

新聞紙上で「働き方」について賑やかである。その1つが「長時間労働」について。

「日本は終身雇用制度で、会社がずっと社員の身分保障をしてくれるので、そのお返しとしての忠誠心の表れか長時間労働を厭わない」という文化があるとの指摘もある。確かにそう思う殊勝な人もいなくはないだろうが、現実は違うと思う。全部が全部ではないかもしれないが、「忠誠心ではなく、現実のメリット・デメリットの計算」に基づくと思う。

■残業をする理由
(1)評価につながる。「残業を厭わず、ヤツは頑張っている」という評価をする人は少なくない。
(2)上司であれば、「残業をしている自分の部署は頑張っている」という雰囲気を演出でき、それを期待する。
(3)管理職未満であれば、「残業代」が稼げる。
(4)家に早い時間に帰りたくない。

■残業に対する疑問
(1)自由な時間が短い。ワークライフバランスに支障がある。
(2)長時間労働の効率が必ずしも高いとは言えない。

女性活躍推進の議論では、残業を会社がどうするかという点が外せない。女性活躍推進ではなく「働き方」という点だけでも、長時間労働をどうするかという会社の考え方が重要になってくる。昭和の時代は、「休日が欲しければ管理職を辞めろ」というタイトルの本をとても有名な経営者が書いた。今、そんなことを言ったら、ブラック企業と言われて、新卒が入ってこない。

学生は、「四季報」だけを見て受けたい会社を探すのであろうか。ネットで検索して貰えばわかるが、次のようなサイトがある。このようなランキングも参考にしているようだ。

■優良企業ランキング
■潰れない会社ランキング
■優良ホワイト企業ランキング
■ブラック企業ランキング
■女子学生のための企業ランキング
■ずっと働きたい中小企業ランキング

学生ばかりではない。就職率を上げるため、良い会社で活躍する卒業生を増やすために、大学も企業を選んでおり、HPに公表しているところもある。「昭和女子大 企業選び」で検索すると出てくるのがこういうもの。

■女子学生のためのホワイト企業ランキング 
■「優良企業ランキング」

さて、話は戻って、残業。会社として、残業をどう位置付けるか、例えば是とするか非とするか、トップの判断が必要である。会社の最高意思決定機関である取締役会の決議が一番いい。何も指示をせず暗黙知に頼り、判断を現場の長に任せてしまうと、昭和の価値観が滲み出し、冒頭のような「残業をする理由」に帰結してしまう。

残業の位置付けについて会社の統一判断基準が必要である。
1、残業を非とする
2、残業を是とする
3、残業を最小限にする
4、残業代は支払うが「評価基準」には加えない(もしくは加える)

上記のどの位置付けをするかは、それぞれの会社判断であるが、どれとするかは明確にしておきたい。それは、トップや役員会が最終的に判断するしかない。

それと残業を減らすと「売上」も減るかもしれないという考えがある。限りある人的資源を朝から晩までフル稼働したほうが、確かに売上は伸びるかもしれない。ただし、長時間労働は効率が必ずしも上がるとは言えない。

売上が下がるリスクは、いくらでもある。線品やサービスの劣化、オペレーション効率の低下、コニュニケーション能力低下、マーケティングの失敗などたくさんのリスクがある。だから、残業しないで頑張れば売上は保てるという考えはほんの一部の要因であり、残業だけにフォーカスするのもおかしい。

繰り返しだが、長時間労働の会社方針を持たずに「取締役や本部長にお任せ」では、「女性活躍推進」や「働き方改革」は機能しない。すなわち、少子高齢化の問題にきちんと向かい合わず昨日まではちゃんと就活生が採用できていたという前提で、昭和の価値観を持って残業の是非を判断するのは、それこそ企業にとって大きなリスクである。

これまでのメルマガで紹介してきたように、これからの日本企業はグローバルでの戦っていかなければならないので「生産性の高い」国にすることが必要である。日本企業が生産性を語るには「残業」に目を背けていては、前に進まない。トップの決断が必要である。

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古川裕倫の「いろどり徒然草」7月号

グローバリゼーションとダイバーシティ

グローバリゼーションとダイバーシティは表裏一体の関係であり、グローバル企業になるにはダイバーシティの実践が必要である。

幕末に日本近海に現れ開国を要求した黒船。蒸気機関で進む鉄板の船に「大砲」を搭載している。「農業国家」から、産業革命で、「工業国家」に姿を変えた西欧。生産性が高まり、結果繊維製品などの売り先を求めて世界に繰り出した。そしてはるばる日本にまでやってきた。

他方「ゆったりまったり」の農業国・自給自足国家として独立独歩を決め込んでいた江戸幕府下の日本にとっては、突然の来客は迷惑千万であったが、その腕力で開国させられてしまった。しかし、開国してみると悪いことばかりではなく、明治人の努力と富国強兵・殖産興業という方針のおかげで、人口は4倍に増え、国力は大いに増して世界第2位のGDPの国にまで上りつめた。その途中第2次大戦敗戦で焦土となってしまったが、戦後世代の勤勉と頑張りのおかげで、また豊かになった。「ゆったりまったり」の日本にまた戻ってしまったとも言える。

しかし、今、日本に「見えない黒船」が来航している。「グローバル企業」である。インターネットなどの通信革命で世界のボーダーがなくなり、しかも、黒船同様「大砲」を持っている。

今の日本の産業について。ざっくり言うと、我が国の第1次産業(農林水産業)は、GDPの10%、第2次産業(製造業)は30%、そして第3次産業(サービス業)は60%となっている。第2次産業は日本が割合得意な分野としても、第3次産業に占める海外企業のシェアはどうだろう。ヤフー、グーグル、マイクロソフト、シスコ、オラクル、スターバックス、外資保険会社などが日本で大きなシェアを持っている。第2次産業でも、ネスレ、P&G、ジョンソン&ジョンソンなどの優秀なグローバル企業が成功を収めている。

この新しい黒船に今頃「お帰りください」とは言えない。そうではなくて、日本がグローバルに進出していかなければならない。

日本の少子高齢化で、2つのことが言える。

(1)日本市場が縮小する。国内商売しかしないと、今後30年で2割から3割の売上・利益が減る。それを言われて素直に認める経営者は少ないかもしれないが、それが現実である。だからこそグローバルに出ていかなければいけない。
(2)高齢者の割合が減らずに労働人口が大きく減るのだから、働き手の確保が必要。ダイバーシティの理解と実践が必要である。

先に述べたグローバル企業の「見えない大砲」は、具体的にはこのような武器である。

(1)「理念経営」。世界中の社員が同じ目標を持って働く。「企業理念、価値観、行動規範」などが共通。
(2)「知識マネジメント」。グローバル企業内で知識や経験を効率的にシェアする。
(3)「多様な人材の活用および多彩な知恵の活用」。つまりダイバーシティ。

他方日本丸はいかがであろうか。もちろんグローバルに健闘している企業もあるが、そうではない会社も多い。

(1)「ゆったりまったり」「成功体験体質」でなかなか変われない。イノベーションができない。
(2)日本丸にはトップに物言えないヒラメ取締役が多数乗船しているが、黒船には物言う社外取締役が過半数乗っている。
(3)ダイバーシティを自分ごととして捉えている企業が少ない。
(4)グローバル人材が不足している。

グローバル企業になるには、共通の想いを世界中の国の従業員が持ち(理念経営)、同時にそれぞれが異なる文化や異なる個人としてのアイデンティフィケーションを強く持っている必要がある。つまり、ダイバーシティを理解・実践していないと、グローバルに戦うことはできないということである。

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朝の5分を使って「ホワイトカラーエグゼンプション」について考える Part2

Q1.日本におけるホワイトカラーエグゼンプションに関する変遷とは?

 ホワイトカラ―エグゼンプションは、90年代半ば頃より注目を集め始めた。戦後、ホワイトカラーの労働者が倍増したことが理由である。もともと日本の労働法は、ブルーカラ―の労働者を主眼に制定されたものだった。そのため、近年の労働現場の実情にはそぐわない部分が多々ある。そこで、ホワイトカラ―エグゼンプションに関して経団連を中心に具体的な提案書をまとめたり、第一次安倍政権で注目を浴びりした時期もあったが、批判が多く上がり実現には未だいたっていない。
 批判が上がる理由は、過労死を増やすブラック企業が増えるという懸念があるためである。日本は現在、労働時間は原則1日8時間、週40時間である。それを超える場合は割増料金を支払わなければ、働かせることはできない。しかしホワイトカラーエグゼンプションでは、労働時間に関係なく賃金を決定する。労働時間は労働者本人が決め、その中での成果を基準に評価する。つまり、残業代0円になる。
 海外事例の場合、ホワイトカラー・エグゼンプションに付随する条件は厳密に定められている。労働者の権利を侵害しないよう、取り決めも整備されている。
 また、年収ダウン、有給休暇の未消化、過労死者数の増加、労働時間の延長によって少子化に拍車がかかるなど、社会問題悪化を懸念する声もある。

Q2. 勤務間インターバル制度とは?

 時間外労働などを含む1日の最終的な勤務終了時から翌日の始業時までに、一定時間のインターバルを保障する制度のこと。従業員の休息時間を確保し、恒常的な長時間勤務や不規則な勤務体系の改善を目的とする。働く時間の自由度を担保する一方、不当な仕事量や高すぎる目標設定による過労死が懸念される「ホワイトカラ―・エグゼンプション」と同時に、労働者の心身の健康を保持する施策として、近年注目を集めている。EUでは1993年に法制化されており、24時間につき最低連続11時間の休息が義務づけられている。例えば、勤務終了時刻が23時だった場合、始業時刻に関わらず、翌日の出社時刻は10時となる。

https://jinjibu.jp/keyword/detl/519/
(参考:日本の人事部)

※日本経済新聞/イー・ウーマン社長 佐々木かをり氏
 これからの経済成長を考えるには、生産性向上の議論が欠かせない。経済を活性化させることは働く人の頭数を増やすことと必ずしもイコールではない。嫌々仕事をしても成果はでない。私は一人ひとりがハッピーに働ければ、生産性は上がると考えている。日本全体で2%成長するのはなかなか難しいが、1人の生産を2%上げることはできるのではないか。
 そのためには多様な働き方を広げることが重要だ。具体的には労働時価と賃金の切り離しが欠かせない。時間ではなく成果に賃金を払う「脱時間給」制度(ホワイトカラ―・エグゼンプション)の議論では、ごく限られた高収入の人だけが対象になっているが、もっと裾野を広げるべきだ。
 例えば年収300万~400万円で、子育て中に時間短縮勤務を余儀なくされている人にもニーズはあると思う。給料は100%もらい、自宅で働く時間をつくればいい。今は自宅や海外にいてもできる仕事はたくさんある。出社することが働くことではない。もちろん工場の生産現場など労働時間と賃金が比例しなくてはいけない職種もたくさんある。重要なのはそうした働き方を希望する人に選択肢を作ることだ。労働時間の上限規制や、一定の休息時間を確保する「インターバル制度」などの安全策も並行して議論していく必要がある。
 安倍晋三首相が女性活躍を推し進めてきたことは評価している。女性活躍推進法ができたし、経済界が動き出した。今まで男性だけが向こうにいた「鍵のかかった扉」が開き、女性の取締役や監査役も増えた。
 ただ多様性は女性に限った話ではない。年齢や学歴など様々な観点の多様性が社会や組織には大切だ。今は女性向けに育児支援など様々な制度があるが、男性は出世できなくなるからその道を歩かない。
 それでも男性も介護などに直面する世の中になってきた。どんな働き方をしても管理職を目指す道に戻れるようにする必要がある。そろそろ女性のために「2本目の道」を作るのはやめよう。すべてを束ねた道を国が作っていってほしい。

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朝の5分を使って「ホワイトカラーエグゼンプション」について考える Part1

Q1.ホワイトカラー・エグゼンプションとは?

ある一定の要件を満たすホワイトカラーに対して、労働に関する法的規制を緩和・免除する制度のこと(エグゼンプション=「免除」)。
労働時間や賃金、休息等についての規制を免除することで、企業による時間管理の枠を外し、労働者の裁量性を高めること目的とする。
そのため、支給される賃金額は労働時間以外の要素(例えば職務内容等)をもとに決められることが多い。対象者は、労働時間と成果が比例しにくいとされる職種、例えば、管理職や専門職(研究職や開発職、デザイナー、士業等)が一般的である。

Q2.ホワイトカラー・エグゼンプションと裁量労働制の違いは?

ホワイトカラ―・エグゼンプションは、実際の労働時間の長さに関わらず、「労働の成果に対する対価」として賃金を支払うことを原則とする。一方、裁量労働制は、実際の労働時間の長さに関わらず、「ある一定の労働時間(みなし労働時間)に対する対価」として賃金を支払うことを原則とする。そのため、ホワイトカラ―・エグゼンプションでは「深夜労働や休日労働に対する割増賃金」の支払い義務がないのに対し、裁量労働制には「深夜労働や休日労働に対する割増賃金」の支払い義務が発生する。
従来の労働時間に関する枠組みと比較すると、いずれも企業の労働時間の管理義務は軽減される仕組みとなっているが、ホワイトカラ―・エグゼンプションの方がより明確に、労働時間と評価の関係を切り離した制度と言える。
ただし、ホワイトカラー・エグゼンプションは、従業員を際限なく働かせることを是とする制度ではではない。企業は従業員の健康に配慮する義務があることを忘れてはならない。

Q3. ホワイトカラー・エグゼンプションを導入している国はどこ?

イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、等。

① アメリカ
◇労働に関する法律:公正労働基準法(FLSA)等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は1週40時間まで。週40時間を超える場合は、通常賃金の1.5倍の割増賃金を支払わなければいけない。
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを何故導入するのか?:時間の枠組みを超えた、より裁量性の高い職務遂行を支援するため
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:管理職や運営職(広報、人事、法務、コンピュータネットワーク等)、専門職(法学・医学・グラフィックアート、システム開発・テスト等)、外勤営業職、等
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:最低賃金及び割増賃金の支払い義務がなくなる

② ドイツ
◇労働に関する法律:労働時間法、等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は原則1日8時間まで。1日8時間を超える場合、ある一定期間における1日の平均労働時間が8時間以内となるよう調整しなくてはならない。時間外労働に対する割増賃金の支払い義務はなし。なお、小売業の営業時間については、月曜日~土曜日は6時~20時までに制限され、日曜日は駅のキオスク等を除き営業禁止となっている。
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:管理的職員(採用・解雇等の人事権限を有する者等)等。※全労働者の2%(約40万人)にとどまる。
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:1日8時間を超える労働が可能になる

③ フランス
◇労働に関する法律:労働法典、等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は、原則週35時間。
◇ホワイトカラー・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:畜産、林業、海洋漁業、商船等の従事者、国、地方公共団体、行政機関の公務儒自社、商業代理人、経営幹部職員等
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:労働法典上の労働時間規制(労働時間、休息、休日等の諸規定)の適用を受けない。ただし、年次有給休暇は適用される。

④ イギリス
◇労働に関する法律:労働時間規則、等
◇どのような労働環境なのか?:労働時間は、原則週48時間以内。
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを誰を対象に導入するのか?:軍隊、警察、幹部管理職、家族労働者、家事使用人、宗教従事者等
◇ホワイトカラ―・エグゼンプションを導入することで何が変わるのか?:労働時間規則の法定労働時間、休息、休日、休憩及び深夜労働の既定の適用を受けない。ただし、年次休暇の規定は適用される。

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朝の5分を使って「在宅勤務」について考える

Q1.在宅勤務制度とは?

自宅などを拠点に仕事をすることができる勤務制度のこと。テレワーク(ITを活用した、時間と場所に捕らわれない自由な働き方)の一種。
日本では、東日本大震災を契機にBCP(事業継続計画)および節電対策の一環として注目され始めた。現在では、育児や介護を目的に在宅勤務制度を利用する企業が多い。利用者は主に女性である。
一方、テレワーク導入が進む欧米企業では、利用者の6割は男性であり、マネジメント職もしくはプロフェッショナル職が多い。在宅勤務制度は福利厚生の1つではなく、社員が最も効率的・創造的に働ける環境を整備することで、組織としてより高いパフォーマンスをあげるための戦略として活用されている。長時間の通勤に煩わされることなく、一人で集中できる環境で、能力を思う存分に発揮するための人事制度と言える。

Q2.在宅勤務制度のメリットは?

メリットとしては、下記のような例があげられる。

① 通勤時間の短縮などにより、有効に使える時間が増える
② 個々に適した環境で、集中して仕事に取り組むことができる
③ 仕事の効率が向上し、結果としてアフターファイブが充実するなどワークライフバランスが実現しやすくなる
⑤ 高齢者の継続勤務が可能になる
⑥ 就労に制限(育児・障がいなど)のある人の就職・勤務継続が可能になる

Q3. 在宅勤務制度を導入する際のポイントは?

在宅勤務制度導入で企業がぶつかる課題として、ハード面(情報セキュリティ等)に起因する課題と、ソフト面(コミュニケーション等)に起因する課題があげられるが、企業が制度導入を躊躇または挫折してしまう原因はソフト面にあることが多い。コミュニケーション不足による職場内不協和や、マネジメントの困難、在宅勤務者本人の自己管理能力不足による生産性の低下、孤立感などは特に、頭を抱えやすい問題である。

ソフト面での課題を低減するため、最低限留意したいポイントとして、例えば下記6点があげられる。

① 在宅勤務日とそのタスク内容を予め明確にしておく。
② 在宅勤務時の職場との連絡方法や連絡可能な時刻を明確にしておく。
③ 労働時間の長さではなく、「仕事の成果や貢献度」を評価するマネジメントスタイルを確立しておく。
④ 在宅勤務者の上司へは事前に十分な説明を行い理解を得ておく(在宅勤務者の評価が不当に下がるのを防ぐため)
⑤ 職場内の不公平感や軋轢を減らすため、在宅勤務を希望しない社員を含めた対象部署全員に説明会を実施する。
⑥ 在宅勤務者には、オフィスで働く以上に高い倫理観とチームワークが求められることの理解を得ておく。

Q4.在宅勤務の対象者を決める際の注意点は?

在宅勤務の申請受諾を判断する際、在宅勤務を希望する理由ではなく、「適性」に着目することが大切である。
在宅勤務に適性がある人の特徴としては、自律的である、コミュニケーション能力がある、思考や創造力を要する業務である、等があげられる。
自律的に動くことが困難な人や、新規の社員等、常にサポートが必要だったり信頼関係がまだ浅かったりする社員に対しては、制度適用は難易度が高いとされる。
在宅勤務は社員の権利ではなく、仕事のパフォーマンスが下がり改善がみられない場合は、通常のオフィス勤務に戻すことも検討する。万が一、在宅勤務申請を却下・中断する際は、その理由を明確に伝えることが大切である。「仕事がいつも遅れる」等の抽象的な表現は避け、「○月○日のプロジェクト報告レポートの提出が期限に間に合わなかった。現段階では在宅勤務を許可できない。」等、具体的な理由を示す。

(Q1~Q4参考:プレジデントオンライン)

Q5.今年の夏、新たに大規模な在宅勤務制度導入を決定した大手自動車メーカはどこ?

答えは、トヨタ自動車。社員の約3分の1である2万5000人程度を対象に、在宅勤務制度を8月に導入する。週1日、2時間だけ出社すれば、それ以外は自宅など社外で働くことができる。男性の育児や女性の活躍を後押し、親の介護による離職を防ぐことが目的である。対象となる職種は、人事・経理・営業・開発職などである。工場勤務である技術職は対象外とした。
軌道に乗れば、常時数百人希望の社員が新制度を活用するようになる可能性がある。実際の広がり具合をみながら、システムや既定の細かな改革を進める予定だ。

(Q5参考:日本経済新聞)

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