第4回女性活躍推進企業情報交換会「日本取引所グループのダイバーシティ推進:全社を巻き込む改革エンジンのかけ方」開催レポート

2018年6月19日15:00~、第4回女性活躍推進企業情報交換会を開催しました。掲題会では、総務省認定「テレワーク先駆者百選」に選定された株式会社日本取引所グループの岩田桃子氏にご登壇いただき、テレワーク導入や多様な人材の活躍促進など、ダイバーシティ推進施策を進める中で組織がぶつかりがちな壁と、その壁を乗り越えるための工夫について、同社の取組みを踏まえてお話いただきました。

講演終了後には、30分間ほどの質疑応答(以下、一部抜粋)があり、活発に意見交換が行われました。

Q1.2000年から女性の総合職採用を始めたということでしたが、それ以前はどのようにされていたのですか?

A.一般職採用をしていました。現在は、一般職として入社した方で資格変更制度を使って総合職へ転換された方もいます。

Q.総合職は転勤がありますが、何か配慮はされていますか?

A.育児中の社員については、極力配慮した上で転勤を決めるようにしています。また、適性申告制度というものもあります。配属希望について、直属の上司を介さずに人事部へ申告できる仕組みです。そこで、転勤希望についても申告ができるようになっています。ただ、とは言え、やむを得ず転勤させなければいけない場合もありますので、その場合の対応としては配偶者帯同休業制度や再雇用制度を用意しました。テレワーク等も活用しながら、場所を変えても働くことができるよう、できるだけ柔軟な対応を心がけています。

Q2.PDCAをすごく大事にされていると感じました。色々な場面でアンケートもとられていると思いますが、アンケートを社員が負担に感じないよう、工夫されていることは何かありますか?

A.全社員に対するアンケートは過去2回実施したことがあります。1つはフレックスタイム制についてで、もう1つが在宅勤務度についてです。いずれも、先にご紹介した1年に1回の適性申告と同じタイミングでアンケートに記入してもらうようにしました。既存アンケートと一緒に実施してしまうことで、手間をできるだけ減らすようにしています。

Q3.講演では度々トライ&エラーという言葉がありましたが、例えばどのような失敗や改善がありましたか?

A.先ほど申し上げたように、当初改革の対象を育児や介護など制約のある社員に絞っていた頃は、一生懸命やっていてもなかなか周りの人を巻き込むことができませんでした。それを全社員に対象を切り替えたことは、1つの改善ポイントだったと思います。また、社員の中にも様々な考え方や意見がありますので、時には個々不平・不満をもらうこともありました。そのような場合は、1つずつ丁寧に説明することを心がけ、時間も30~40分ほどかけて理解してもらうように努めました。例えば、フレックスタイム制度導入では、導入後も従来の出社時間である8:45に律儀に真面目に出社し続ける女性社員や管理職もいました。そういった方たちには、まず何故フレックスタイム制度を導入したのか、制度導入によってどのようなメリットがあるのかなど、制度背景からきちんと個別に説明していきました。各種制度を導入する際は説明会を開き任意参加してもらっていますが、不明点が残る場合には個別対応も積極的に実施していました。

参加者の声


○粘土層役員の動かし方が大変参考になった。社員一人一人の話をしっかり聞いて、仕組みの改善に活かす姿勢は、弊社でも意識していきたい

○女性活躍や育児の制度は整っても、全体行動にならないので介護も入れれば全体的な動きになると思っていたが、それだけでも甘いのかもしれないと考えさせられました。ありがとうございました。

○岩田さんの熱意を感じた講演でした。細かな施策に至るまでの想いの強さがポイントで、実行力の大切さを痛感しました。トライ&エラーを繰り返してよくしていくことが参考になりました。

○まさにオピニオンリーダーであると感じました。何かを進める、変えるにはまずは発信する側の良くしたいというパワーが必要であると痛感しました。貴重なお話をいただき誠にありがとうございました。

○大企業でも色々な制度を取り組まれ、対応されていることに感銘いたしました。自社でも制度を導入しているにも関わらず「制度を知らない」「取れる雰囲気でない」という人が多く、根気強く浸透させていかなければいけないと思いました。

○実際に取り組まれた対策や、上手く運用させるための具体的な方法を聞くことができ、とても参考になりました。当社でも働き方改革のタスク活動で息詰まる点が多々ある為、今回学んだことを共有し活動に活かしたいと思います。

○JPX様の取り組みについて理解することができました。ジョブローテーション、留学制度、他者へのトレーニー制度等、女性の人財育成への取り組みとして参考になりました。

○日本取引所様の制度について、背景や具体的な説明をいただけたので大変参考となりました。当社の取り組みの参考としたいと思います。

○各企業が同じ取り組みについて悩まれていることは、理解しておりました。その中で岩田様が取り組まれている内容は、弊社並びに各企業様も実施・検討され問題がある中で、力技な部分を見えましたが、「会社を動かす必要性」「会社を変える必要性」を伝えること、素晴らしいと感じました。

○JPX岩田様のお話は非常に臨場感のある実践的な話でした。職場の風土改革は一筋縄ではいかないことが多いですが、トライ&エラーの気持ちで我々も努力していかなければと気持ちを新たにいたしました。貴重なお話をありがとうございました。

○岩田様のお話は本当にわかりやすく、推進担当者の実体験に基づくお話で非常に参考になりました。学ばせて頂きました事を自社に活かせるようにして参りたいと考えています。「全社を巻き込む改革エンジンのかけ方」については岩田さんのようなオピニオンリーダーの存在、強い意志と聡明な知恵を兼ね備えた「人」が要のように感じました。

女性活躍推進企業情報交換会について


一般社団法人彩志義塾では、「立志塾」参加企業様をコアメンバーに、ダイバーシティ推進・女性活躍推進をテーマにした情報交換会を定期開催(年3回)しています。他社との交流を通じて得る新たな着想や問題解決のヒントを、自社のダイバーシティ推進・女性活躍推進にお役立ていただくことを目的としています。

<次回> 第5回女性活躍推進企業情報交換会
日時 2018年10月16日(火)15:00~17:00(受付14:30~)
場所 ウィン青山2階E(青山一丁目駅より徒歩1分)
主催 一般社団法人彩志義塾
お問い合わせ info@saishi.or.jp (担当:奥寺)