古川裕倫の「いろどり徒然草」3月号

竜馬に学ぶビジネスの要諦(第9回)
~成長するための気づきと学び その3~

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竜馬に学ぶビジネスの要諦(第9回)
ー成長するための気づきと学び その3-
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 前回は、竜馬が自分な大きな浪漫(ロマン)を実現するために勉強し、自分を磨き高めることが必要だと気づいたこと、すなわち竜馬の「気づき」について紹介した。今回は、どうやって学んだらよいかについて説明する。

第9回 成長するための気づきと学び(その4)

 自分を高める方法は次の三つだ。

・仕事から学ぶ
・人から学ぶ
・書物から学ぶ

●仕事から学ぶー拘束時間の長い会社で学ばない手はない

 1日に8時間も10時間も会社で拘束されているのであれば、その間に学ばない手はない。いやいや働くのも、自分のために学びながら働くのも、会社に長時間拘束されている点では同じだ。であれば、学びながら働くほうが有益ではないだろうか。

 分析力、理解力、説明力、判断力、決断力などの能力はすべて会社で学ぶことができる。仕事の意味を考え、自分で調べ、分からないことは上司や部下に聞くことによって、ますます自分の能力が上がる。いろいろな顧客に会えば、説明力も上がる。敬語も上手になって国語力も上がる。クレーム処理は、逃げていないで、問題解決のスキルを上げる最たるものだと思って前向きに取り組めばよい。

●人から学ぶーメンターを見つけ、その人から学ぶ

 竜馬のメンター(助言者)が勝海舟であったことは、多くの説明を必要としないだろう。勝海舟から学んだことは、その後の竜馬の生き方を大きく変えた。そもそも、竜馬が「開国派の勝はけしからん」と思って斬りに行ったにもかかわらず、面談した勝海舟に海外事情を説かれ、逆にその場で竜馬は弟子入りしてしまった。

 私は若い人には、「自分があの人のようになりたいと思う心の恩師」すなわちメンターを見つけて、まず真似(まね)ろと申し上げている。そういうメンターを見つけて、観察し、自分からアプローチすることが大切である。例えば、会議でどんな発言をするのか、部下にどんな振る舞いをするのかをよく見てその人から学ぶ。メンターと親しくなっていろんな意見を聞けばよい。

 職場には尊敬できない上司もいるだろう。しかし、「上司に恵まれない」と腐っていないで、反面教師として「自分は将来あのようにはならい」という学び方もある。
 
 私はトップやリーダーには、「自分のことをメンターだと思ってくれる部下や後輩をたくさん育てることが大切だ」と申し上げている。自分を育ててくれたメンターがいるのなら、自分も後輩にそのお返しをして当たり前である。多くの若手から慕ってもらえるような大きな器のトップやリーダーになって欲しい。

 私にはメンターが3人いるが、そのうちの1人の座右の銘に高杉晋作の辞世の句がある。

「おもしろきこともなき世をおもしろく、すみなすものは心なりけり」

 おもしろいこともない世の中だが、おもしろいと思うかそうでないかは、自分の心の持ちようだ、という意味。

 この辞世の句の解釈を借りれば、仕事から学ぶことも人から学ぶことも、自分の心の持ちようである。学ぼうという気持ちがなければ何も学べないが、思いがあればいくらでも学べる、と言える。

 紙面の関係で、3番目の書物から学ぶは次回にご紹介する。

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