古川裕倫の「いろどり徒然草」5月号

「日本はずっと昔から男性が外で働き、女性は家庭を守ってきた」

という思い込みから脱却しよう。

 

思い込みとは怖い。それが当たり前のように言われ、次々と伝播していく。
女性活躍推進の議論になると「日本では、昔から女性は家庭を守ってきて、
外では働いていない」というのが出てくる。「昔から」とは一体いつの頃
からだろう。

結論から言うと、明治の後半以降人口が爆発的に伸びた頃からであろう。
江戸末期の我が国の人口は、3千3百万人と言われる。それがつい数年前
に1億2千8百万人となった。言って見れば、人口が140年間で4倍に
増えた。

「なぜ明治後半になって増えたのか?」医学の進歩などもあるが、要は人
口を食わすことができるほど国が豊かになったのだ。産業革命以後の西洋
文明を「富国強兵」「殖産興業」という名目で大いに取り入れ、生産性を
大いに向上させた。機関車からレンガに至るまで最初は全部輸入したが、
ほとんどのものが国産でまかなえるようになった。国力が驚異的に伸びた。

そんな成長期つまり明治中期以降になってはじめて「男性は仕事に専念し
、女性は家庭に」という文化が定着してきたのだ。

江戸時代は85%が農民であり、「男性も女性も働いていた」のである。
確かに、武士階級のトップと豪商のほんの一部に、当時の理想の女性論な
るものがあったが、この説明は別の機会に譲りたい。

さらに江戸時代より前も、米作りを中心とした農耕社会であったので、当
然「男性も女性も外で」働いていた。

だから、「日本ではずっと昔から、男性が外で働き、女性が家を守ってき
た」というのは、単なる思い込みである。江戸時代以前は、男性も女性も
外で働いてきたという前提で議論すべきである。

 

【お知らせ】

◇立志塾-第4期終了、第5期スタート

おかげさまで、3月12日(土)、昨年10月からスタートした第4期立志塾が最
終回を迎えました。4月9日(土)より第5期がスタートします。第5期は8名
の塾生さんが参加予定です。ありがとうございます。
※第4期最終回の様子:https://www.facebook.com/saishi.or.jp/

 

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【経営者・人事担当向け】女性活躍推進に関する無料相談会 ~働きやすく、生産性の高い組織を作るために~

セミナー概要

こんなお悩みはありませんか?
・「逆差別」という男性社員からの反発、初の女性管理職の困惑
・ 低離職率、高育休復帰率、かつどことなく停滞気味な組織風土
・ 数打てど響かず、女性活躍推進研修

◇内容:代表理事古川裕倫より、経営者視点の女性活躍推進のポイントをお伝えします。
◇主催:一般社団法人彩志義塾
◇開催日:2016/06/08(水) 16:00 ~ 17:30(受付15:50~)
◇会場:一般社団法人彩志義塾 セミナールーム
◇住所:東京都千代田区内神田1-11-10 コハラビル306
◇講師:古川裕倫(代表理事)
◇参加費:無料
◇定員:9名
◇参加申込期限:2016/06/03(金) 18:00
◇申込後キャンセル期限:2016/06/07(火) 12:00
◇対象:経営者・経営幹部、人事担当者

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セミナー詳細

なかなか伸びない売上数字。伸び続ける離職率と残業時間。
安定していて休暇がとりやすいと評判の「働きやすい」会社。安定の真の実態は、
「売上高が上にも下にも動かない」こと。

女性活躍推進法が施行されて1か月。対応策は百社百様あるかと思います。
しかし、女性活躍推進に着手したばかりの会社も、そうでない会社も、目指すところは
「働きやすく」、かつ「生産性が高い」組織ではないでしょうか。

また、女性活躍を推進するということは、多くの企業とって、それは組織風土を
改革するということを意味します。
多種多様な社員の声を吸い上げ、一方向にまとめ導いていくことが必要です。
しかし、風土改革には反発がつきもの。
反発と上手に付き合いながら、よりスピーディーに、より効果的に、
社の女性活躍を推進するには何が必要なのでしょうか。

「働きやすく」、「生産性が高い」。

本セミナーでは、この2つをキーワードに、経営的視点から、
効率的で利益が高い組織を目指すために必要な、女性活躍推進のポイントをお伝えします。
また、要点をお伝えした後は質疑応答の時間を設けますので、
各社状況をお伺いしながら可能な限りの提言をさせていただきます。
※お申込みいただいた方には、事前にヒアリング項目へのご回答をお願いしております。

【経営者・人事担当者向け】第6期立志塾 受講説明会〜女性幹部候補養成のための少数精鋭型長期セミナー〜

説明会

◇内容:2016年10月開講の、女性社員向けセミナー第6期『立志塾』について、
    カリキュラム詳細や期待されるメリット等をご説明いたします。
◇主催:一般社団法人彩志義塾
◇開催日:2016/06/15(水) 16:00 ~ 17:30(受付15:50~)
◇会場:一般社団法人彩志義塾 セミナールーム
◇住所:東京都千代田区内神田1-11-10 コハラビル306
◇講師:古川裕倫(代表理事)
◇参加費:無料
◇定員:9名
◇参加申込期限:2016/06/10(金) 18:00
◇申込後キャンセル期限:2016/06/14(火) 12:00
◇対象:経営者・経営幹部、人事担当者

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見学会

◇6月、7月の開催を予定しています。詳細決まり次第公開。

【経営者・人事担当者向け】第5期立志塾見学会・説明会

説明会

◇内容:2016年4月開講の、女性社員向けセミナー第5期『立志塾』について、
    カリキュラム詳細や期待されるメリット等をご説明いたします。
◇主催:一般社団法人彩志義塾
◇開催日:2016/02/18(木) 17:00 ~ 18:00(受付16:50~)
◇会場:一般社団法人彩志義塾 セミナールーム
◇住所:東京都千代田区内神田1-11-10 コハラビル306
◇講師:古川裕倫(代表理事)
◇参加費:無料
◇定員:10名
◇参加申込期限:2016/02/17(水) 18:00
◇申込後キャンセル期限:2016/02/17(水) 18:00
◇対象:経営者・経営幹部、人事担当者

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見学会

◇内容:第4期立志塾の様子をご見学いただけます。
◇日時:2月13日(土)13:00~ ※入退室自由
◇場所:赤坂見附
◇タイムテーブル:
 13:00~ 講義「志とキャリア戦略の重要性 -幹部になるという選択-」
      グローバルに活躍する
 14:00~ 講義「エキスパートから学ぶ、組織運営の基礎知識」
      投資、M&A、子会社・関連会社
 15:30~ ラウンドテーブル「上場会社役員、役員経験者、ロールモデルとの意見交換」
      ゲスト:渋澤健氏
 18:00~ 議論「ホームカミング」卒塾生との意見交換

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古川裕倫の「いろどり徒然草」1月号

「わが社の女性はやる気がないのか」、それとも「男性上司が不勉強なのか」
~「できないかも症候群」の理解の重要性~

(今日はストーリー風に)

若手を積極的に抜擢登用しようとしている会社幹部佐々木基之常務が、2人の部下に別々に話をしている。

佐々木常務は、まず黒田道子課長に尋ねた。黒田通子は、総合職入社で、12年間本部や営業の仕事をしてきて、大変優秀と言われている女性である。
「佐々木君、新しいこのプロジェクトの責任者をやってみないか。当社として大切な案件であり、優秀な君に任せたいんだが。」
通子は、考え込んだ末、下向きかげんにこう答える。
「大変光栄です。。。。アノー、しかし、やり遂げられるか自信がありません。。。」
「うーん、そうか。わかった」
と、会話が終わった。

翌日、佐々木常務は、加藤一貴課長に同じことを聞いてみた。
加藤一貴は、ほんの一瞬考えたものの、細い目をしっかり見開いて
「はい、わかりました。ありがとうございまーす!」
と語尾のトーンを上げた。

話をすませた佐々木常務は、3階にある自分の部屋にも戻って机についた。
「やはりうちの女性はやる気がない。当社の伝統は男性が支えている」
とつぶやいた。

はたして佐々木常務がいうように女性だからやる気がないのか、はたまた黒田通子課長の個人的な生き方が問題なのか。

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シェリル・サンドバーグは、現在フェイスブックCOO。
ハーバード大学卒業後、マッキンゼーを経てグーグル在籍中にフェイスブックのザッカーバーグ氏に引き抜
かれた。彼女の著書「LEAN IN」に「インポスター・シンドローム」という言葉が出てくる。女性は、(男性
とは違って)自分のことを控えめに考えすぎるキライがある。

例えば、成功しても、たまたまラッキーなのであり、自分の実力ではない。将来もことも、安直には考えられず、新しいポジションのオファーがあっても安請け合いできない、と考えてしまう。
それいう女性の特有の考え方を「インポスター・シンドローム」といい、これは女性が持っている普遍的なものであり、女性という生き物の一部であるという。

これは(古川の)私見ながら、男性はそんなに先のことを考えない(考えられない)のに対して、女性は頭の回転が早いので先々の苦労や骨折りを今の時点で見通してしまうのではないかと思う。

一般社団法人彩志義塾が主催する「立志塾」では、「LEAN IN」も含めて、ワンクールである半年間に6冊の課題図書がある。この本についての議論では、「もっと早くこの本と出会いたかった」「自分も、ついつい、与えられた機会を断っていた」などと塾生のコメントが必ず出る。

他方、立志塾で塾生に語っていただく女性ロールモデル(女性会社役員)は、口を揃えて「多少難しいと思っても、与えれらたチャンスは受けるべき」「背伸びをしたら、背丈が伸びる」などと塾生にアドバイスをしていただいている。言葉を変えると、「インポスター・シンドロームを乗り越えて、チャンスをうけなさい」という教えである。

「インポスター・シンドローム」は、「できないかも症候群」と、一般社団法人彩志義塾では訳している。

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前段に戻ると、もし佐々木常務が、「できないかも症候群」を知っていたとしら、「わが社の女性は女性はやる気がない」といわないだろう。そうではなくて、黒田通子課長に「難しいというが、どこがどのように心配か。私がカバーすべきところはカバーするが、どうか」と聞き直して、機会に挑戦することを催促するだう。

確かに、権利主張だけの「ぶら下がり社員」は女性にもいる。そうではなくて、女性であろうと男性であろうと、組織に貢献して成果を出さなくていけない。

ただし、「できないか症候群」、すなわちビッグプロジェクトを引き受けるかどうか心配しすぎる女性脳があることを、男性も経営者も覚えておきたい。また、このようなことを含めて男性への女性活躍推進の啓蒙が必要なことも自明である。

【お知らせ】

1、≪新春特別セミナー≫開催決定!
株式会社バンダイ取締役の飛田尚美氏と彩志義塾代表理事古川裕倫の2タッグで、2016年、気持ちを新たに、今後の女性の活躍について語ります。
◇タイトル:ロールモデルに聞く女性の活躍と企業マネージメント
~2016年、女性活躍推進はどう動くか~
◇主催:株式会社新社会システム総合研究所(SSK)
◇詳細:https://saishi.or.jp/20160113802.html
◇申し込み:https://www.ssk21.co.jp/seminar/S_16035_input.html
※古川裕倫のコラムをご覧になったと注書きいただけると5,000円割引になります。

2、女性活躍推進法施行まで残り3か月、無料セミナー好評受付中。
ご好評につき、今月も幣法人主催の無料セミナーを実施します。
◇タイトル:「4月1日施行:女性活躍推進法~概要と今後の企業対応を考える~」
◇日時:2016年1月19日
◇詳細:https://saishi.or.jp/20160113866.html
◇申込み:以下いずれかよりお申込みください。
・彩志義塾ホームページ:https://saishi.or.jp/contact.html
・日本の人事部 http://jinjibu.jp/seminar/detl/33692/

3、一般社団法人彩志義塾主催「立志塾」2月の見学を受け付けます。
◇日時:2015年2月13日(土)
13:00から17:00まで@赤坂見附
◇詳細:お問い合わせページにご返信いただければ詳細を連絡します。
◇内容:13:00~ 気付きの講義「グローバルに活躍する」
(彩志義塾代表理事 古川裕倫)
14:00~ 会社の基礎知識講座「投資、M&A、子会社・関連会社」
15:30~ 経営者・役員とのラウンドテーブル
(コモンズ投信会長 渋澤健氏)

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