古川裕倫の「いろどり徒然草」8月号

行動力
~スタンプカードを上手に使えないわけ~

「10個スタンプが溜まると1回ただになる」など、多くの小売店
や飲食店でスタンプカードを提供している。
昔からよくある顧客サービスであるが、継続的に顧客を囲い込める
立派なCRM手法の一つである。

しかし、必ずしも顧客がスタンプカードをもらうとは限らない。
「なぜスタンプカードをもらわないのですか?」と聞くと、多くの
人から「財布がパンパンでもう入らないから」との答えが返ってく
る。面倒くさいという人も中にはいるかも知れないが、ほとんどの
人の答えが、「あっちでもこっちでもカードをもらうと、財布に入
りきらないから」である。このメルマガの読者が一定以上のスタン
プカードをもらわない理由も同じであると思う。

同じ質問をサービス提供側にしてみると、やはりその答えのほとん
どが「そんなにたくさんのカードを持ち歩けない」と同じであり、
顧客の心情もわかっている。

私は、よく行く飲食店や知り合いのB2C店主によく次の提案をする。
「お店で顧客のスタンプカードを預かってあげたら?」と言うと、
「なるほど、それはいいアイデアだ」と理解はしてもらえる。ちょ
っとした名刺箱のようなものがあれば、十分に管理でき、そんなに
手間がかかるものではない。スタンプカードには、お預かり期間は、
何ヶ月か何年と明記しておけばいい。居酒屋やバーでボトルキープ
できるのと同じシステムである。複数店舗やチェーン店展開をする
飲食業や小売業であれば、顧客がどこの店舗でも使えるようにポイ
ント制の磁気カードなどにしないといけないが、昔からのスタンプ
カードのコストは、読み取り機器も不要で、圧倒的に安い。

しかし、議論としては理解していても、実際に行動に移さない店主
が圧倒的に多い。私(古川)は、少なくとも10 人の店主に提案し
てみたが、行動に移して継続しているのは1人しかいない。スタン
プカードは顧客が持っているものという先入観から脱皮できないの
か、ほんの小さな作業が増えることを嫌がるのか。

全国的に多店舗展開しているお店であっても、都市に1店舗か2店
舗しかなければ、顧客が行く店は限られている。コーヒーショップ
やコンビニなどは、あちこちの店を使う場合も多いであろうが、モ
ノを買って家に持ち帰る場合などは、行く店はほとんど同じである。
だから、顧客の希望を聞いて、スタンプカードや磁気カードを預か
ってあげればいい。

有効であるとわかっていても、行動しないのはもったいない。理解
するという「インプット」と行動するという「アウトプット」が違
うのは残念である。顧客にとって何がメリットなのか、顧客の課題
は何かを考え行動するのも、経営者や店長の器量であると思う。


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古川裕倫の「いろどり徒然草」7月号

笑顔の大切さ 〜テクニカルスキル(左脳能力)とヒューマンスキル(右脳能力〜

一昔前は「男は度胸、女は愛嬌」と言われたが、
今は「男女にかかわらず度量と愛嬌」という人間力が必要だと思う。

業界知識、仕事の進め方、専門知識などのテクニカルスキル(左脳
能力)も必要であるが、ヒューマンスキル(右脳能力)も大切であ
る。自分の信念であるとか生き方がちゃんとしており、懐が深いな
ど、人間力が高いことが求められる。人(顧客や部下)を動かす立
場にある人は特にそうだ。

人間力の最たるものが、「笑顔」であると思う。犬猿の仲であった
薩摩と長州を説得して、薩長同盟を成し遂げた坂本龍馬は、とても
笑顔がよかったそうだ。

先日、IT会社のエス・エー・エス株式会社青山秀一社長のお話を伺
った。想い(会社の使命)は「すべては笑顔のために」であり、経営
理念は「常に質の高いサービスを提供し、会社のスキルアップを通
じて、SAS全メンバーの生活水準の向上を図ると共に社会の笑顔に
貢献していく」と言ったワーク・ライフ・バランスをベースとした
経営を実践している。

重要なステークホルダーの順番では「従業員」が最初に来るとし、
社員を非常に大切にしている。特にIT業界No.1を目指す福利厚生に
力を入れ、社員とそのご家族との交流を頻繁に行い、社長や役員は
合計で300名程にもなるその全員の名前を覚えていると言う。さ
まざまなイベントには、他にもビジネスパートナーやクライアント
の担当者も参加し、みんなで笑顔を共有しているそうだ。

IT業界の離退職率は平均で12%弱であるが、この会社の離職率
(離退職者数を社員数で割ったもの)は3%以下だ。「社員と社会
の笑顔」を大切にする素晴らしい会社である。正に「笑う角には福
來たる」である。


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古川裕倫の「いろどり徒然草」6月号

1日で目標金額を上回った老舗温泉旅館の
クラウドファンディングとホスピタリティ

5月30日まで1ヶ月半コロナウィルス禍で休業していた群馬県
みなかみの上牧温泉「辰巳館」が、5月30日にオープンした。
開業100周年を記念した300万円のクラウドファンディング
を行なったが、なんと1日で予定金額を達成、6月3日現在達成
金額は736万円、支援者数が204名となった。

クラウドファンディングはこちらから

私(古川)は、辰巳館に通ってもう30年になる。
ここは、顧客を大切にするというホスピタリティが極めて高いから
であり、私は日本一と思う。

昔から仲間と温泉に行くのが好きだったが、考えてみると、この頃
の目的は「飲み騒ぐ」ことだった。旅館に着く前から列車内で飲み
始め、着いたらと思ったらまた飲み、大騒ぎをして、下手をすると
風呂もカラスの行水。食後もカラオケ、その後部屋飲み。翌朝、ソ
クサカ帰っていく。これは、まさに「疲れに来ている」ようなもの。

サラリーマン時代、取引先の偉い方からこう言われた。「疲れは、
1日や2日では取れませんよ。最低でも3−4日、できれば1週間
ぐらいゆっくり休むといい」。なるほど。

それ以来、癒しに行くことを目的として、1泊ではなく、3−4連泊
する。基本一人で行くが、たまには友達と一緒のこともある。友達
は1泊で帰るが、私はその前後も含めて3連泊はする。

「命の洗濯」とは、日頃のストレスや苦労から解放され、のびのび、
ゆったり、まったりすること。まさにサラリーマンに必要な非日常
的行動である。

辰巳館では、部屋に(応接テーブルより背の高い)机と椅子を入れ
てくれる。パソコン・スマホを使うので、マルチ電源と蛍光灯も。
心温まるサービスである。私は、今でいうリモートワークをしてい
る。仕事をしたり、原稿を書いたり、昼寝をしたり、散歩に出かけ
たり、温泉にドプーンも。

私は、ゆったり散歩派であるが、アクティブな人ならここを基地と
していろんなことに行ける。連泊する大きなメリットである。辰巳
館さんから車で30分の谷川岳もよし。麓から10分も軽い坂を登
れば、有名な一の倉沢がバーンと眼前に現れる。夏もよし。バスで
90分で尾瀬にもいけるので、宿から日帰りできる。ラフティング
などのアウトドアスポーツもできる。冬は、スキーやスノーシュー
に行け、宿が送り迎えしてくれる。

辰巳館は、今回の休業中に従業員研修を行なった。働く意味の再検
討(私が担当)、英会話、温泉や地元の勉強など。

縦軸に重要性を取り(上にいくほど重要)、横軸に緊急性(右にい
くほど緊急)を取ると、右上象限が、最も重要で急ぎ(重要顧客ク
レーム、人身事故、工場ダウンなど)。左上象限は、重要だが緊急
性は低い。こういう時こそ、戦略構築と人材育成をすべきと思う。
多くは、赤字をなんとかしようとコストカットに走るが、今こそ先
の2つを含めた社内活性化が重要と考える。

従業員の皆さんの意見を聞いて、やはり感心したは、お客様に対す
る心配り・気配りである。長年かかって構築してきた企業文化であ
る。

常連も多いが、本メルマガの読者の皆様にも、ぜひお出かけいただ
き、辰巳館のホスピタリティを経験いただきたい。

予約の際に「古川のメルマガの読者」であることを伝えていただけ
ると、「私らしく」、(本年中に行かれる皆様に)夕食時1本「竹酒」
(たけざけ、竹に入った冷酒)を古川アカウントでご用意します!!!


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古川裕倫の「いろどり徒然草」5月号

逆境こそ未来を考えるとき

コロナウィルス被害のお見舞い申し上げます。
ただ嘆いていても何も起きないので、逆境のときこそ成長があると
信じて、前向きにポストコロナに備えて今できることをやっておく
のはいかがでしょう。

幕末の吉田松陰は、
「順境は怠(なま)けやすく、逆境は励みやすい」と言っています。
「境の順なるは怠(おこた)り易(やす)く、境の逆なるは励み易し」
飛行機が離(着)陸するときは、後ろからの風ではなく、向かい風
がいい。大きな浮力を得れるから。

今日は、逆境に生きた主人公の本を紹介させていただきます。
『大地』(パール・バック、岩波文庫)
既に読まれた方や著者名をご存じの方が多いと思います。
パール・バックはピューリッツァー受賞者。「大地」は、宣教師の父
の赴任に伴い中国を経験した近代化一歩手前の中国を舞台に描いた人
間物語。「大地」「息子たち」「崩壊した家」の3部作が4冊の文庫に
収められている。

第1部「大地」は、貧困のどん底から苦労・努力の連続で這い上がって
くる主人公を描く。主人公の終焉に至るまでを一気に読め、前向きの生
き方を教えてくれる。主人公と著者にありがとうと言いたくなる。
続2部は、主人公の次世代の物語。親が欲するとおり子供が生きるとは
限らない。それぞれの思いや生き方がある。激動の時代を生きた人々の
熱き思いを感じる。これらは、人生観、グローバリゼーション、ダイバ
ーシティ、親子の価値観、時代の変化、変わらぬ人の心などを教示して
くれる。

パール・バックは1960年に日本を訪れており、「つなみ」という童話を
書いています。その画像がユーチューブで見られます。
こちら↓

ちなみに、逆境を克服する書籍として、「逆境を超えてゆく者へ」
(新渡戸稲造、実業之日本社)と「回復力」(畑村洋太郎、講談社現代新書)
もお勧めです。


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古川裕倫の「いろどり徒然草」2020年4月号

「ビジネスパーソンの幸福論」(その1)

40年以上働くのだから、仕事を楽しんで、幸福に働きませんか。

ブツブツ文句を言いながらイヤイヤ働いている人もいますが、
仕事を楽しめる人の方がずっといい。
そう思って、本書「仕事を楽しめる人は『忙しい』とは言わない」
~ビジネスパーソンのための幸福論~(古川裕倫、扶桑社)
を書きました。 

国内外の多くの経営者が「知の巨人」と呼ばれるドラッカーを
敬愛してやみませんが、ドラッカーの興味は、仕事を通じて人
がどう幸福になるかということであり、マネジメントとは人を
幸せにする組織の運営方法であるとしています。

経営や経済についてのみならず、人間的で哲学的なことも語る
ドラッカーには私(古川)は親しみを感じます。

「寝床につくときに、翌朝起きることを楽しみにしている人間は、幸福である」
「学問的な言い方ではないが、仕事ができる組織は仕事を楽しんでいる」

ドラッカーは、仕事の成果を上げることが最も大切なことであり、
それはどんな普通の人でもできるとしています。特別の才能を最
初から兼ね備えている必要はなく、成果を上げるための考え方や
習慣を身につければいいと言います。「成功する人間に必要な生
まれつきの能力などありはしない。ただ、あなたが成し遂げたい
ことに必要な能力だけを身につければいいのだ」というアドバイ
スは、読書のモチベーションを高めます。

人は誰でも強みを持っていて、成果はそこから生まれる。強みを
見つけるには、自分のできないことではなく、できることに目を
向け集中すればいい。

そして強みを最大限に活かすには、1番大切なことに集中しなけ
ればいけない。やらないことを決めて、やるべきことの優先順位
を決めよ。リーダーも最大の仕事は、目的を明確にして成果を出
すこととしています。

やり方さえつかめば誰にでも成果が出せるという教えは「複雑な
ものは大抵うまくいかない」という簡単かつ基本的な考え方を示
すと共に、「すべての偉大な成功は、地道で面倒なことの積み重
ねの上に成り立っている」というような普遍的な考え方も伝えて
います。

失敗を恐れず物事に挑戦することの重要性については、こう言っ
ています。「優れた者ほど、間違いは多い。それだけ新しいこと
を試みるからである」「成果とは常に成功することではない。そ
こには間違いや失敗を許す余地がなければならない」

イノベーションの大切さについては、こうです。「組織は常に進
化していかなくてはならない。砂漠では教養など何の役にも立た
ない」

失敗を恐れず挑戦することを推奨するドラッカーは、組織を変え
ていこというビジネスパーソンの背中をグイと押してくれます。

自分を高める重要性についても触れています。「人間は、自らが
望む将来の大きさに合わせて成長する」と高い志を持つことを勧
め、「教養ある人間は、勉強し続けなければならないということ
を自覚している」と勉強の大切さも説いています。

そして企業の存続目的には、社会に貢献しないといけないとも主
張しています。「事業とは何かを問われると、たいていの企業人
は利益を得るための組織と答える。この答えは間違いだけではな
く、的外れである」「企業は社会や経済の許しがあって存在して
いるのであり、有効かつ生産的な仕事をしていると見なされてい
る限りにおいて存続を許されているに過ぎない」

「仕事を楽しめる人は『忙しい』とは言わない」では、ドラッカ
ー以外に、アラン、ラッセル、ベンジャミン・フランクリン、渋
沢栄一、福澤諭吉などの先人の幸福論もご紹介し、私が思う働き
方・生き方について書かセていただきました。


【お知らせ】

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

2.女性幹部養成プログラム「立志塾」5月度無料見学会
一流ロールモデルと考える「自分らしいキャリア」と「マネジメント」

2020年5月の第13期立志塾開講にあたり、午後の部を無料でご見学いただけます。

[日時] 2020年5月9日(土)13:00~17:00
[会場] ウィン青山2階E(青山一丁目駅より徒歩1分)
[主催] 一般社団法人彩志義塾
[内容] 1.課題図書から考える、「働く」ということ
       「かもめになったペンギン(J・コッター)」
     2. エキスパートから学ぶ、組織運営の基礎知識
       「財務諸表」
     3. 会社役員・ロールモデルとの意見交換
       外資系金融機関役員

 ▼ご見学お申込み
  https://saishi.or.jp/201912192677.html
 
 ▼「立志塾」受講者の声
  https://saishi.or.jp/risshijuku-voice.html

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